2013年6月30日日曜日

チェロの音 ウォルフキラー

私の楽器は、1代目も2代目もウォルフ音がでる。

G線のFisで(厳密に言うとFとFisの間)で発生するが、楽器がよく鳴る時期は、D線でも出る。D線で発生すると演奏に支障が出る。
これを押さえるには、弦やテールピース、エンドピンを変えるという手段があるらしいが、あまり効果がない。手っ取り早いのは、例のウォルフキラーである。

今は、いろいろな形状のウォルフキラーがあるようだが、以前は、筒状のゴムを弦に装着し、それを真鍮でできたもので固定するものが一般的だった。

ウォルフキラーの欠点は、装着することによって楽器全体の鳴りもおさえられてしまうことにある。原理的には、F音あたりだけを押さえられるはずだという主張もあるのだが、これは実際弾いてみるとすぐにわかる。特にA線の艶やかさが失われる。



新しい形のものも、いくつかを試しては見たが、結論は、多かれ少なかれ、すべてのウォルフキラーは楽器全体の音色や音量に影響を与える。
最近試した物 着けた時はいいかなと思ったのですが


中には、ウォルフキラーをつけたらD線やG線の音がよくなったという記述がネットにあったが、これは振動が押さえられた結果、音色が単純になったために、そう聞こえたのであろう。音量自体は落ちているはずである。
またウォルフキラーを着けると、弾きやすい楽器になったように感じるときがある。これも、振動が押さえられるため、楽器の制御がしやすくなるためそう感じるのであろう。 

そうは言っても演奏に支障がでると困るので、ウォルフキラーをつける弊害と利点の折り合う接点を探ることとなる。例えば
①つけてみる弦を変えてみる。G線につけていたが、D線やC線も試してみる。
②つける位置を変える。駒よりやテールピースよりに。
③筒状の金属のカバーを外して、ゴムだけ付けてみる。
④ウォルフキラーをより小型のものに変えてみる。等々

  
しばらく、筒状のゴムだけをG線に付ける+ゴム製のミュートをD線に付ける というやり方をしていた。

ミュートは駒からはずして、楽器につけておいても、楽器の振動を若干止めている。そのため、必要ない場合は、楽器から完全に取り外した方が良いのだが、私の楽器は、付けておくとウォルフ音を止めるにちょうど良い感じがある。この場合のミュートは、DG線の両方に通して使うものと、もっと小型でどちらか一本だけ通して使うものがあるが、後者を使用している。

その後、ゴム管もはずして、ミュートだけをG線の一番下にさげて弾いていた。演奏に支障が出ないぎりぎりだったのだが、最近、よく楽器を弾くようになり、鳴りがよくなったためか、D線でもウォルフが明確に感じられるようになっている。どうしようかなと思っていたら、右のような写真を見つけた。たぶんミュートをこの位置でひっかけているのである。ベルリンの首席でも悩みや感じることは同じなんだなあと思ったが、この手があったかと言うことで、現在、お試し中である。
※写真をよく見ると、テールピースのG線付近に何かがあるように見える。拡大してもよくわからない。薄い鉛の板でも巻いてあるようにもみえるのだが・・・。

追伸
上記のやり方で、継続中である。下まで落ちやすいかと思っていたが、ぎゅっと押さえつけて固定すると、案外落ちない。ただ、ミュートを急いで着脱しなければいけない曲の場合、どうなるか心配です。
鳴りすぎるほどガンガン響く楽器なら、素直にウォルフキラーをつければ、問題解決ですが、それほど響く楽器ではないので、なるべく鳴りを大切にしながら、ぎりぎりを探る苦労がありますね。
 



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