「日本人は,夫婦になり子供のいない間は,男女の関係だが,子供ができるとすぐにお父さん,お母さんの関係になる。なぜ西洋人のように夫婦としての関係をいつまでも保たないのか。外人は,男女の関係を何歳になっても持ち続け,子供がいても二人での生活をエンジョイしようとする。」というような意見があり,西洋人のこのようなる面をよいものだと礼讚し日本でも実践しようとする人がいる。そしてなぜ日本人は奥さんに「愛している」とか言わないのだ・・等という外国人からの批判もある。
古代ギリシャ人は,愛というものを4種類に分類した。第1は,男女の愛,これは性的な欲望がベースにあるもので性愛と呼ぶ。第2は家族への愛,第3は友人への愛,そして最後は神への愛(神からの愛)である。
男女の愛が性欲をベースにしているというならば,この愛は,基本的にうつろいやすいものと言えよう。なぜなら特に男子の生殖本能は多くの遺伝子をなるべく残すというところにあり,それは一人の異性との関係ができてしまえば,次の異性へと関心が移るということを意味している。男女の愛が性愛だけを基本とするなら,本質的にその関係は不安定なものにならざるをえないだろう。
西洋人に離婚が多いのは,基本的に夫婦関係を男女関係からのみ、とらえることから生じる弊害とも考えられる。一方,日本人の場合,夫婦関係は男女の関係から,家族愛へ変質させることにより,より安定したものとなっているのではないか。
欧米人が、夫婦関係の維持に固執するのは、キリスト教の影響が強い。神は、まず男と女をペアとして創造し二人で生活することを命じている。(結婚は神の意志と言うことになるので、欧米人にとって離婚は原則、不可である。今でもカソリックでは離婚はできないことはないが、かなり困難である。昔の話だが、後藤久美子がジャン・アレジと結婚したとマスコミは報道しているが、彼はイタリア人であるため、前妻との離婚は今だ成立していないはずである。ただプロテスタント国は離婚率は高い。)
また子供は神から預かって育てているという感覚が強い。(すべての人間は神が創造する。子供も神が創造し、人間が預かって育てる。そのため親子関係は、上下関係と言うより先に生まれた先輩という感じが強い。また外人が養子をとることに抵抗がないのも、ある意味、実子も養っている子という感じがあるからである。)
そのため、欧米人は、家族の基本はあくまで夫婦関係、途中で、子供を神から預かり育てるが、子供が独立してそれが終われば、また夫婦関係が続くという感覚である。
欧米人が夫婦関係を重視するのは、宗教的・文化的背景からくるものであり、それを日本人が真似をする必要はないと思っている。また日本人が,人前でいちゃつくアベックをみて,いやな感じを持つのは,基本的に、若い男女の愛情の根底に性愛があり,性愛は,いろいろな高尚な言葉でそれをくるんだとしても,基本的に動物的な欲望の発露に過ぎないということがわかっているからだと思う。
「人前でキスなんて・・犬や猫じゃあるまいに」という昔の人の言葉は,それなりに真実を含んでいるのである。それを,キスは素直な愛情表現だとか,日本人は愛情表現が苦手でいけないとか言うのはどんなものであろう。人前はばからず,動物的な欲望をみせつけて恥じない人のほうが賢さに欠けるとおもうのだが。
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