2011,6,15
定演終了。あまり期待していなかった演奏会だったが、期待以上のものがあった。violin独奏者のTさんは今まであんまり何の印象もなく、ふにゃふにゃした演奏をする人と思っていたのだが、今回は集中力、迫力などなかなかどうして大したものだった。
実はTさんの演奏を聞くのは、今回で3回目である。1回目は今から15年ほど前で、メンデルスゾーンの協奏曲をやった時である。指揮者も同県出身の某指揮者で、今から考えると指揮者が悪かったのかなと思うが(やる気も音楽性も感じない指揮者だった)、何の印象も残らない演奏だった。2回目は、ある中学校の開校記念式の時(Tさんはこの中学校の出身である)だが、もう曲目も忘れてしまったが、中学生が相手なのに、何とも小難しい曲が並んでいたという印象が残っている。その2回と今回は大違いである。何が彼女にあったのだろう。
まず今回のショスタコのバイオリン協奏曲は彼女の希望だったらしい。また中学校での演奏曲目も彼女の選曲だろうから、たぶんこういう曲が好きなのであろう。
西洋音楽の中でも特に古典派やロマン派初期の音楽は、曲の全体構成を考え、建物を組み上げるような構想力が必要とされ、こういう部分は日本人が苦手とするところである。しかし、ショスタコは、構想力というより、集中して、ガッガッガッと弾いていけばよいという感じがする。それに彼女の適性があっていた。もしくは彼女もそれを感じているということが一つである。
二番目の理由は、ちょうど中学校での演奏の時は、子育ての真っ最中であり、現在は一応それも一段落し、演奏家としての集中がもう一度できる環境にあると言うことである。
いずれにせよ、確かに感動はそこにあったと言える演奏会だった。そして彼女自身も演奏家として進むべき方向性が見えているのだろうとも感じた。
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