2023年11月10日金曜日

「下倉楽器のK.Shimora/シモーラというチェロはなんだ」というお話

楽器を修理に出すかで悶々と過ごしていた間、ケースで眠っていた最初に購入したチェロを弾いていました。

この楽器は下倉楽器の自社ブランド「K.Shimora」No.390という楽器です。

1981年製のこの楽器は、もちろん量産品で、使用している木材やニスは良いものではありません。下倉楽器のホームページを見ると、今のシモーラはもう少し見映えがよい楽器になっています。

量産品の同じようなグレードでも違いがあるもので、弾き比べて良くなる方を買ってきました。

なにげにラベルを見ていると、下のほうに「Erich Werner」と手書きで書いてあります。これは今の楽器には書いてありません。Erich Wernerってだれなんでしょう?

調べてみると、南ドイツニュールンベルクの近郊のブーベンロイトで活動している現代ドイツの製作者らしい。父親は、典型的なボヘミアンの弦楽器製作者として有名でしたが、ドイツ政府は第2次大戦終結後のボヘミヤ/ザクセンからの移住家族問題を解決するため(ドイツは東方の領土を失った)弦楽器の職人をブーベンロイト周辺に集めました。その時にチェコのショーンバッハよりドイツに移住。そして今は息子さんが工房をひらいているということらしいです。

この人の製作した楽器の価格を調べましたが、チェロで10万円~40万円台で市場で売買されています。普及品を中心に作られているようです。


ということで、このシモーラという楽器は、Erich Wernerの工房に下倉楽器が頼んで日本向けに製作しているブランドということになります。始まりは1970年代の後半からです。

実はこの楽器を購入した時に女性店員さん(中村さんお元気ですか☺️)が「チェコの楽器です」とチラッとおっしゃっていたんですよね。チェコからブーベンロイトに移住したのはいつなのかはわかりませんが、ひょっとしたら最初の頃はチェコに工房があったのかもしれませんね。

私の楽器は残念なことに経年変化でやや硬い音になってきていますが、基本良く鳴ってくれます。結構ツボは心得ている職人さんなのかもしれません。


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