2021年3月27日土曜日

アウディはドイツの車階層社会から抜け出せたのか

アウディという車は、日本では昔から、ベンツやBMほど敷居は高くないけど、あか抜けた高級車というイメージで売ってきたと思います。旦那がベンツなら奥さんはアウディでという感じで。(もっとも、日本ではゴルフでさえ、昔から今にいたるまで高級なイメージで売ってますが😊)

しかし、今は亡き徳大寺さんは、こんな意味のことを言っておられました。(正確には覚えていませんが意味は外していないと思います) 

 

「ドイツは乗っている自動車で、その人の階層がわかる。ベンツはエスタブリッシュメントが乗る車だが、歴史ある大企業の社長さんが運転手付きで乗る車というイメージ。また日本でも同じだが、裏街道の人が乗るというイメージもある。BMWも同様だが、年齢層がベンツより若く、成功した若き経営者という感じが強く、若さと行動力をアピールする意味もあり、自分自身で運転することが多い。VWは言うまでもなく一般庶民が乗る大衆車、アウディは農村の若者が上半身裸(だったか下着のシャツ一枚)で乗っているというイメージが強い

私には、このアウディの描写は強烈だったが、あの年代の人の正直な感想なのだろうと思う。

アウディの歴史は、この「ドイツの農民車」というイメージをいかにして破っていくかの歴史だったのかもしれない。

レースに参戦し積極的に新しい技術に取り組み、高い技術力をアピールするとともに、映画にもよく車を提供し、昔のイメージを払拭しようとしていたように思う。

今、ドイツ人の中でのアウディのイメージはどうなのだろうと調べてみると「スポーツ好きな人が乗る車だが、ベンツ、BMWよりは所得が低い」という感じのようです。

昔のイメージよりは、はるかに良くなっていますが(というより、徳大寺さんの描写が衝撃的すぎるんですが)、他のベンツ、BMW、VWのイメージは昔とそんなに変わっていないようです。たぶんドイツの年配の方の意識には、アウディにも根強く昔のイメージが残っているのではないかと思う。

これらの事実は、ヨーロッパの階層社会のやっかいさではあるんですが、そういうヨーロッパという固定された社会構造だけが、ブランドイメージが変わらない理由ではないと思います。

ドイツ人の良い点は、一旦出来上がったイメージは大切にするものの、それに安閑とせず、常に技術力を高め、良い車を作り続けるとこにあります。

やはり、今でもベンツっていい車だと思われませんか?何のかんの言っても業界トップを走る車づくりをしますよね。そして、売れるからと言って大衆車の分野に安易に進出しないのも、ブランドを守ろうとする矜持が感じられます。最近では、だいぶ下の排気量まで下がってきてますが・・。会社経営上の事情もあるんでしょうね。

ブランドを磨き続ける努力を怠れば、どんなブランドでも地に落ち、その上に企業経営上の失敗があれば、結果、簡単に某国に買収されることになります。イギリスの惨状を見ると、イギリス人は過去の遺産が大きすぎたことが仇となり、皮肉っぽく、かっこ構えた態度を改めて、顔色を変えて働くということが最後までできませんでしたね。

何千万もするピアノを作る会社がありますが、ここは普及品のピアノは作らない。彼らは普及品を作る場合は別の子会社を作って別ブランドで売ります。結局、作るんかいという話ですが、ブランドを守るとはそういうことなんですね。ベンツもスマートという車があったと思いますが、あれもベンツの完全子会社の製作ということになっているはずです。

大衆車を作っている会社は、そのままでは高級車を作っても高級車として受け入れられないと気付いたのはトヨタですが、高級車を作っている会社が別ブランドで大衆車を作ることはできても、大衆車を作っている会社が別ブランドを立ち上げ、高級車を認知させるのは難しいと思います。それぐらい高級車というイメージ作りは難しいんですね。

日本では値段の高い車はたくさんありますが、本当に高級車と呼べるのはセンチュリーぐらいじゃないかなあ。(センチュリーは別として、トヨタの車はどんな高価格の車であっても、内装にカローラの匂いを嗅いでしまう部分が残るのはなぜなんでしょう)

アウディは「スポーティな車」というイメージ構築には成功しましたが、だからといって「高級車」かと言われると、首を振られてしまう方が、今でもヨーロッパでは多いのではないかと思います。

 

さて、日本での現在のドイツ車のイメージはどうでしょう。

ベンツはドイツと同様、昔はお医者さんや社長さんが乗る車というイメージはありましたが、やくざな人が乗る車とのイメージが強すぎました。今は、ベンツと言えばヤクザ車というイメージは薄れましたが、反対にどこでもよく見る外車というイメージになっています。見かけても、特に印象に残らなくなりましたね。

BMも、近所のあんちゃんが安い中古を買って乗り回してるなあ。昔はナンパ車の汚名まであって、私の中では、BMは車の出来はいいのに、良いイメージがないなあ。

日本では老若男女、小金持ちから中下流まで、いろいろな車に乗り、車の選択に「ためらい」はほとんどありません。先日、食品関係のチェーン店を全国に持つ会長さんが、奥さんが運転する軽自動車から降りてきたのは少し驚きましたが。まあこの方は気さくな方で、お家も本当に普通の家ですけどね。 

何でも大衆化してしまうのは日本のいいところですが、そのかわり真に高級で豪華で、かつセンスが良い車は出てきにくい(というか作れない)社会なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 




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